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刺さない鍼治療における皮膚について①

2021年6月20日

こんにちは

広島市中区舟入 くわはら鍼灸院 院長の桑原です。

今回は刺さない鍼治療における皮膚について、簡単ではありますが数回に分けて、お伝えさせていただけたらと思っています。

 

脳と同じルーツである皮膚(表皮)

皮膚は表面から、表皮ー真皮ー皮下脂肪の3層から構成されています。

表皮は、三層に分裂した受精卵の外側にある外胚葉から発達してきます。

受精卵は妊娠3週頃、三つの層、外側から外胚葉、中胚葉、内胚葉に分かれていきます。

外胚葉は表皮・神経系・感覚器に、中胚葉は真皮・筋骨格系・循環系などに、内胚葉は消化器・呼吸器などにそれぞれ発達していきます。

簡単に言うと、外胚葉はセンサー、中胚葉は体格、内胚葉は内臓というように分類できます。

皮膚の表皮は、脳や脊髄などの神経系や感覚器と同じ層から発達してくる臓器なのです。

皮膚の役割

皮膚は、日本人の成人の平均で約1.6m²の面積(およそ畳1枚分)、体重の約16%もの重量を占める人体最大の臓器です。

皮膚にはさまざまな役割があり、次のような四つの主なはたらきがあります。

①保護作用

体外からの刺激(機械的・物理的な外力、化学刺激物質、微生物、紫外線など)から体を守るとともに、体内からの水分喪失を防ぎます。

②分泌作用

皮脂や汗を分泌します。皮脂腺から分泌される弱酸性の脂(皮脂)は、皮膚の乾燥を防いだり、細菌の繁殖を防いだりする役割を担っています。

③体温調節作用

暑いときには汗を出して体温の上昇を防ぎ、寒いときには立毛筋を収縮させて体温が奪われないようにします。

④知覚作用

触覚や痛覚、温覚・冷覚、かゆみなどの感覚をとらえる役割もあります。

皮膚(表皮)の役割に新たな発見

近年まで、表皮は後に垢となってはがれ落ちていく角層を形成するだけのためにあると考えられていました。

触覚や痛み、そして振動などは真皮にある神経によって、温度や刺激物は表皮にある神経繊維によって感知されていると考えられていました。

今世紀になってから、表皮は温度、電場、磁場、音、色、匂い分子や味分子などを感知する事がわかってきています。

すなわち表皮には人間の五感である触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚の全てが揃っている事になるのです。

私たちはある器官にたいして、見るのは目、聞くのは耳、というように固定して考えがちなのかもしれません。

皮膚は優れた情報処理装置

生演奏の音楽、特にオーケストラなどをホールで聴いた時と、デジタル化された音楽を聴いた時とでは、全く違う感じを受けた事があると思います。

私たちは耳で捉えきれない音を、皮膚から空気の振動として音を感じています。

また音や光といった物理現象だけてなく、場の空気、相手の感情、人の気配なども皮膚という感覚器を通して感じとっています。

日本人には目や耳では捉えきれない感覚を、「肌で感じる」「肌が合う」というように、皮膚を通して感じる感覚として表現します。

刺さない鍼治療は、優れた情報処理装置である皮膚(表皮)にアプローチすることで、脳や脊髄といった神経系の調整に関与していると考えています。

 

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