広島市中区舟入 くわはら鍼灸院 院長の桑原です。
当院の三つの特徴の一つに、「重力に強い体幹を目指していただく」というものがあります。
今回から数回にわたって、「重力に強い体幹を目指していただく」という事について、お伝えさせていただけたらと思っています。
最大の敵は重力
地球上には重力(万有引力)があり、私たちの身体は常に地球の中心に引かれている事はご存じの事かと思います。
私たちは、重力によって押しつぶされる身体を二本の足を起点に踏ん張って、押し返す事によって立っています。
重力は身体の真下に向かい常にかかっている為に、歪んだ身体をしていると体幹バランスの崩れが起こり、姿勢保持の為に必要以上の筋肉を使ってしまう事になります。
この事が筋肉痛や関節痛の原因となりますが、さらに身体の歪みが進行し酷くなってしまうと、杖や介添えが必要となる事にも…
地球上に住んでいる以上、私たちは、重力の影響を避けて生きていく事はできないのです。
重力とうまく付き合っていく為に
加齢により筋肉量は低下していきますが、20歳ころの筋肉量を基準に考えると 、70歳くらいでは男女ともに30%の低下がみられることから、10年間でおよそ6%ずつ筋肉量が低下している事になるようです。
加齢と共に減少する総筋肉量は、姿勢を保持する筋肉の使用量と運動をする筋肉の使用量から成り立っていると考えられます。
姿勢を保持する筋肉の使用量を減らしていけば、それだけ運動をする筋肉の使用量を増やしていく事ができ、競技スポーツにおける潜在能力の向上、歩行姿勢・体型悪化の改善、介護予防や傷害予防なども期待できます。
少なくなっていく筋肉を効率よく使いこなしていく為には、姿勢を保持する筋肉の使用量を減らしていく事がキーポイントとなり、その実現には地面に対して鉛直な体幹バランスを目指していく事が最善の近道となります。
鉛直な体幹バランスを目指して
地面に対して鉛直な体幹バランスを手に入れる為には、地面と接している足底の機能を見直していく事が必要となります。
一般的に普及している履き物やインソール(中敷)は、アーチ(足弓)形状の劣化や損傷を補う為に、足裏の形状に合わせたインソールで履き物と足をフィットさせる事に主眼が置かれています。
現代の履物は、世界のシューズメーカーが足底板の理論を基に、フィット感と衝撃吸収性を求めてきた事に端を発していますが、この一般的に普及されている履き物が、本来有るべき各アーチの上下運動や衝撃吸収能力、循環機能、体幹バランス保持力の妨げとなっている場合があるのです。
足底の機能と感覚を取り戻す
大工や左官、とび職、塗装……などの職人や、造園工事や農業や林業に携わる人たちが古くから愛用してきた地下足袋をご存じでしょうか。
つま先が二股に分かれた仕様によって指が自由に動かせ、アーチサポートのないインソールにより、足袋を通して足裏の状態を手のひらのように察知することができます。
こうした機能から、地下足袋は高所での作業や不安定な足場での作業時に、体幹バランスを安定させることから、古くは江戸時代より愛用されてきました。
アーチサポートの無いインソールを使用していく事で、足底の機能や感覚が活性化し、重力に強い体幹バランスを取り戻していく事が可能となります。
私自身、鍼治療などを行いながら、アーチサポートの無いインソールなどを併用していく事で治療効果を持続させる事ができ、そのお陰で慢性化した症状を早期に克服し、現在においてもその効果は継続できております。