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刺さない鍼治療の歴史について

2021年6月6日

こんにちは

広島市中区舟入 くわはら鍼灸院 院長の桑原です。

今回は刺さない鍼治療の歴史について、簡単ではありますがお伝えさせていただけたらと思っています。

 

刺さない鍼治療の始まり

現存する中国最古の医学書とされている『黄帝内経霊枢』というものがあります。

これは鍼灸治療について詳しく書かれているもので、その中で現在でも使われている3種類の接触させる鍼について、その形状や使用法などの詳細が記載されています。

この事は刺さない鍼治療の技術が、2000年以上も前に中国で確立されていた事を示す事実だと考えられます。

また、現在美容などで注目されている「かっさ」の原点である「刮痧(かっさ)療法」は、2500年前から中国で民間療法として行われてきました。

刺さない鍼治療の始まり 日本では?

日本では江戸時代中期の文献に、現在でも使われている3種類の接触させる鍼についての詳細が記載されています。

日本における鍼灸治療の歴史は千数百年に及 んでいますが、刺さない鍼治療である小児はりは、子どもを対象とした「鍼(はり)」の技法として日本で開発され、江戸時代後期から盛んに行われ、日本独自の治療方法として歴史とともに確立されてきました。

接触鍼法の誕生

この鍼灸術は、鍼を刺すことで大きな失敗を経験した結果誕生しました。

昭和初期、一般的な刺す鍼治療を行なっていた治療経験の浅い小野文恵先生は、肩への刺す鍼治療で患者を亡くならせてしまっています。

その後、肺結核を患う若い女性の肩凝りでの鍼治療で、肩に鍼先を触れるだけの刺さない鍼治療をおこなったところ、その効果に大変喜ばれたようです。

この女性は、病のせいもあり非常に痩せ細っていて、とても鍼を刺せる状態ではなかったことも、この鍼灸術の誕生に一役かっているようです。

その後、接触鍼法を中心に治療体系を確立した小野文恵先生は東方会を設立し、その志しを引き継いだ先生方が鍼灸師の育成に尽力されています。

触れる事を大切にしてきた日本鍼灸

日本鍼灸は、病因病理をとらえるために体表である皮膚に触れる事で観察していき、反応があるツボに処置をしていきます。

治療効果は手首の脈やお腹、そして舌の状態だけでなく、処置したツボやそのツボが関係する範囲の状態を皮膚に触れる事で判断していきます。

現代の中国鍼灸は、毛沢東の文化大革命により鍼灸治療の効率化が推進され、強い刺激で素早く大量に治療する技術が開発されていき、本来の中国鍼灸の思想は影をひそめていきました。

触れる事を大切にする伝統的な鍼灸治療は、日本鍼灸において小児はりや接触鍼法などによって受け継がれており、世界的にも注目されています。

社会情勢によりますます人の五感、特に触覚が失われつつある現代において、触れる事や触れ合う事の大切さをこの鍼灸治療を通して見つめ直していただけたらと思います。

 

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