こんにちは
広島市中区舟入 くわはら鍼灸院 院長の桑原です。
今回は刺さない鍼治療で用いるツボについて簡単ではありますが、お伝えさせていただけたらと思っています。
身体にある相似性
現時点において、私たちの細胞の数を一般に知られている60兆個や37兆個などのように、厳密なことを述べることはできませんが、何十兆個程度あるというのが最も妥当な回答のようです。
何十兆個程度ある私たちの細胞ですが、もともとは受精卵という、たった一つの細胞からスタートしていきます。
そういった影響もあるのか、私たちの身体には相似性という関連性がみられます。
例えば身体の「くび」と呼ばれるところ、具体的には手首や足首、そして頭と胴体をつなぐ部位である首などがこれにあたります。
身体の相似性を用いて(その1)
91 年9月にオーストリアとイタリアの国境近くの標高3000m付近の山中で、登山客によって氷漬けの遺体が偶然に発見されました。
考古学者の詳しい調査によれば、5300年前の人間(男性)であることが判明し、X線の所見で腰椎すべり症を抱えていたことがわかりました。
オーストリアの医学博士で鍼灸を研究している医師によって、このミイラにある手足と腰部にあるタトゥー(刺青)が鍼灸治療の腰痛に対するツボの位置と重なっていることがわかりました。
この事は紀元前3000年前より、患部とは離れたツボに刺激を加える事で症状の軽減をはかる、つまり身体の相似性を利用した治療が行われていた事が考えられます。
身体の相似性を用いて(その2)
現存する中国最古の医学書とされる『黄帝内経素問・霊枢』に、「尺膚診」という診断方法についての記述があります。
「尺膚」つまり肘から手首にかけて身体の状態が反映されているとし、その皮膚の緊張や発汗、そして温度などを診ていく事で、身体の状態を診断していくとされています。
近年では、フランス人医師のP.ノジェ博士によって全身の状態が耳に反映されるという耳介療法が発表され、またアメリカ人医師のW.フィッツジェラルドによって足裏反射区図へと発展していくゾーンセラピーが発表されました。
このように紀元前より、局所は全身に全身は局所に投影されるという、身体の相似性を利用した診断や治療が行われていたことが伺えます。
身近にある相似性
この相似性という関連性は、私たちの身体に起こる問題だけでなく、社会全体のあらゆる事に相似していると、内海聡先生はいわれています。
例を挙げると、以下の様になります。
「地球が汚れ海が汚れ川が汚れている事と、人体が病気となり体中のいたるところに社会毒があり血液が汚れている事は同じである。」
「農薬を使い虫を殺し生命と土を破壊する事と、人体に薬を使い腸内細菌などを殺し医原病を導くことは同じである。」
これらの現象で言える事は、私たち一人一人が身体の声にしっかりと耳を傾け、私たちに備わっている「自己治癒力」を信じて過ごしていく事が、社会環境にも良い影響を及ぼしていくという事だと思います。
刺さない鍼治療などにより、私たちに備わっている「自己治癒力」を整えるお手伝いをさせていただく事が、活きやすい社会環境の再建に繋がっていくと信じています。